仕事と病気の両立のために会社が準備すべきこと
みなさんこんにちは。
今週に入り、一気に北風が冷たく感じられ、冬らしくなってきましたね。
帰宅して、温かいお部屋で過ごす時間や温かい浴槽につかるほっこりする瞬間が好きです。
さて、今週は
「仕事と病気の両立のために会社が準備すべきこと」
を考えて行きたいと思います。
日本は、少子化の影響で20代〜60代の労働人口減少が著しく進んでいます。
私たちが20代の頃(20年ほど前)はコンビニエンスストアやファーストフード店でのアルバイトは
学生か若者しかいない風景が当たり前でした。
しかし、最近はシニアの方々が元気一杯に接客することは日常となりつつあります。
今後は、接客業だけでなく、隣のデスクにはシニア世代の方々がバリバリと仕事をすることが
珍しくなくなっていくのでしょう。
厚生労働省の「治療と職業生活の両立支援についての取り組み」によると、
特に
労働人口の約3人に一人が何らかの疾病を抱えながら働いており、
仕事と治療の両立を支援し、
病気の人でも安心して仕事を継続できる環境作り
が求められています。
しかし、実際は離職することを選択してしまう人が多く存在し、病気を抱える労働者のうち継続して
仕事を希望する人が92.5%(2013年度)いる一方で、離職せざるを得なかった人が正規雇用者で14%
(非正規雇用労働者は25%)となっている状態です。
そうなってくると「ガンや脳卒中に罹患しても仕事を続けられる環境を整備されていること」が、
優秀な人材を雇用するためのスタンダード(当たり前の感覚)になるはずです。
罹患するリスクについては、シニア世代だけの問題ではなく、不妊治療や精神疾患などで通院することも
増えて着ていますので若者世代の課題でもあります。
加えて、医療の発達により、昔は不治の病であったガンや脳卒中などの病気も今は長期入院ではなく、
通院で闘病することが可能になってきています。
私の父も数年前にステージ4のガンを患いましたが、
手術は数カ所に数センチの傷だけで済む方法をとったため数日の入院で済みましたし、
放射線治療も今は副作用がほとんどない方法もあり、外来で数時間の点滴で終了するなど、
日常生活のリズムを大きく変える必要がない治療が受けられる
ようになりました。
ただ、通常よりは通院の時間や急な体調の変化のため、
休暇を取らざるを得ない状況は発生するので、
その時に本人が後ろめたい気持ちで休みを取るのではなく、
他の人に任せられる職場の雰囲気や風土、
急に休んでも仕事が滞らない状況
を作っておくことが求められるでしょう。
出典:2013がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査「がんの社会学」に関する研究グループ、研究代表者 静岡がんセンター山口建
では、病気と仕事の両立が進んでいる会社がどのようなことを行なっているのか?少しご紹介いたします。
事業所の方へ
ポイント1 相談しやすい環境づくり
治療と仕事の両立支援は労働者本人の申し出が基本となります。制度を作るだけではなく、
その内容の周知や意識啓発を行うとともに、窓口の明確化、普段からの声かけ・コミュニケーション等、
労働者が相談しやすい環境作りが重要です。
ポイント2 同僚の理解、治療と仕事の両立がしやすい職場風土の醸成
両立支援を進めるには、職場における理解が必要です。両立支援の必要性や意義を共有し、疾 病に対する
正しい知識・理解を研修等により進めることが、治療と仕事の両立に理解のある職場風土を醸成する上で大切です。
ポイント3 時間的な制約だけでなく、業務遂行能力等を踏まえた対応
労働者が罹患すると、
入院や通院等への時間の確保が必要になるだけではなく、
疾病の症状、
治療の 副作用等に
よっては、業務遂行能力が一時的に低下する場合等があります。
育児や介護等の両立支援とは異なり、時間的な制約だけではなく、
労働者本人の業務遂行能力も踏まえた支援の検討が必要です。
ポイント4 個々の事情に応じた配慮、関係者間の連携が重要
症状や治療は、個人ごとに大きく異なることから、ここの事情に応じた配慮が必要です。
職場、人事労務、産業医、産業保健スタッフ、医療機関の支援機関等の関係者が必要に応じて
連携することが重要です。連携により個別事例に応じた適切な両立支援の実施が可能となります。
■休暇の配慮
取組例 | |
傷病休暇・病気休暇 | 治療目的として、取得日数、取得条件(連続取得日数等)や処 遇(有給・無給)を定めた上で、年次有給休暇とは別に休暇を付与する。 |
年次積立有給休暇 | 取得最大日数、取得条件(過去さかのぼり年数、連続取得日数等)を定めた上で、失効となった年次有給休暇を積み立てておき、治療時に取得できる。 |
休職制度の例外づくり、長期休暇 | 治療の状況に応じて、現行の休職制度に例外を設け、治療に必要な 期間について休職期間の延長を行う(無給の場合が多い)。 |
復職支援休暇 | 治療で有給休暇を使い果たした社員のために、復職後の通院等で使用できる 復職支援休暇を付与する。 |
時間単位の有給休暇 | 通院時間が短いケース等に配慮し、時間単位で有給休暇を取得できる制度 |
他の社員の有給休暇の付与 | 両立者以外の社員の失効有給休暇を、その社員の希望により両立者に付与する。 |
■勤務管理の配慮
取組例 | |
時差出勤 | 身体に負担のかかる通勤ラッシュの時間を避けての通勤を可能とする(最大時間数等の制約をかける場合もある)。 |
短時間出勤 | 治療中や復職当初の負担を軽減することを目的として、短時間出勤を認める。職 場復帰プラン等に定める場合もある。 |
短日数勤務 | 週5日の勤務が負担なある場合、週内の短日数勤務とする。 |
休憩時間の調整 | 複数回の食事が必要な場合や、副作用等による体調不良等に対応するため、昼休憩以外の休憩時間の確保を可能とする。 |
退職者の再雇用 | 疾病等でやむを得ず退職した社員について、優先的に再雇用する(退職時における登録や時限付きにする等の対応が取られることもある)。 |
■通勤、勤務場所の配慮
取組例 | 支援内容 |
テレワーク | 通勤による負担の軽減等のため、勤務場所を会社に限らず、自宅、サテライトオフィス、コワーキンクグスペース等での勤務を可能とする。 |
お試し出勤 | 長期休職者等の円滑な復職を支援するために、勤務時間や日数等を短縮したお試し出勤等を行う。両立者だけではなく、職場関係者の準備にも有効である。 |
■配置の配慮
取組例 | 支援内容 |
両立しやすい部署への配置転換、職務転換 | 本人の希望にもとづき、両立しやすい部署への配置転換や、短時間勤務への職務転換 等を行う(治療期間限定としたり、最大月数を定める等の時限対応が取られることもある)。 |
転居を伴う異動への配慮 | 通院に配慮して、転居を伴う異動への配慮を行う地域限定の職種への職務転換を行う等の対応が取られることもある)。 |
■欠員フォロー、両立者サポート
取組例 | 支援内容 |
部署内でフォローしあえる
雰囲気・仕組みづくり |
イントラネットでの資料共有、複数人でも業務対応、コミュニケーションの活性化等により、突然の傷病発生時も含め、フォローできる仕組みをつくる。 |
部署を超えた欠員フォロー | 多部署からの応援等、事業所全体で組織的にフォローする。普段から多様な業務に携われる人材を育成する。 |
サポーター育成 | 病院等で実施しているサポーター養成講座等を受講させるなど、両立者を支援するためのサポーターを育成する。サポーターに対しては、勤務評価に反映させる。 |
他社の事例から、まずは自社でできることからひとつづつ取り組んで、
我が社ならではな両立支援の仕組みを構築してください。
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